摺臼物語

摺臼とは、昔、稲から脱穀した籾の殻を除いて玄米にする道具である。摺臼は、摺臼屋さんが作る。上寺尾の小津嘉市さん、中蒔田の風間玉作さんとか、萩平の方にもあったそうだ。
摺臼も挽き臼と同じように、上臼、下臼で出来ていて、下臼の土台は厚さ十センチ、幅十五センチ、長さ一メートル位の合歓の木が材料で、これを中心部で十文字に組み、その中心に芯棒と言って高さ八十センチ、太さ直径約三センチ(基部はもっと太くても良い)を立てて固定する。その周りに竹ひごで、直径六十センチ、高さも六十センチ、円筒型の篭を作り、篭と芯棒と台は頑丈な竹串で固定される。
その一番上から十センチ近く下がったところに摺臼の縁といって、外側に下臼の円周に添って丸く幅十五センチ位の廊下状の張り出しがあり、その外側は十五センチ位の高さの壁になっている。
下臼の篭には、よく練った質の良い粘土に古い蔚などを刻んで、良く操んだ蔦とを混ぜて粘土と練って下臼の篭に杵で捲き込み、上臼との噛み合わせ部に歯を植える。歯は樫や擦などの
固い木を、高さ十五センチ位の輪切りにし、それを厚さ二、三ミリ、幅八から十センチの薄板に割り、芯棒を中心に放射線状に外側に向かって二センチ間隔位に幾列か植え込み、その列に角度を変えて、幾列か外へ向かって放射線状というふうに、臼の噛み合わせ面全部に植えて「かけや」で強く打ち込むととても固く締まる。
歯の上面を平らにかけやで揚き揃える。そして、縁も外側の壁も厚さ三センチ位に良質の粘土で丁寧に作り、塗り上げ、さらに立ち上がりの縁には、手拭いのあまり古くないのを小麦粉で作った糊で貼り、その上からも糊をよく刷毛で撫でる。これで下臼は乾けば良い。
上白もやはり竹ひごで直径六十センチ、高さ四十五センチ位の口はやや細く茶釜のような形をした中段下部辺りに太いたがを締め、挽き手と称する、厚さ三センチ、幅十センチ、長さ九十センチ位で、中央に穴があり、芯棒を通す。両端に挽き木の竹竿を引っかける切っ欠きを付けた厚板を篭作りの段階で、外側に等分に突出して作り付け、その下部に藁製の箸を下向きに作り付ける。この箸が籾が剥げて、縁に溜まった玄米や籾殻を縁の下側の出口から上臼と一緒に回って掃き落とす。
さて、上臼へも粘土を詰めるが、噛み合わさる面の中央部に一升析より一回り大きい底のない木の枠を置き、それを基準に粘土を詰め、上へ上がるに連れて、内側が桶状に、外側の篭の方へ粘土を叩き付けるように壁を詮り上げ、その内側は籾が一斗五升位入る容量があって、土
壁の底に四角の大きな穴のある査といったようなものである。
縁は後で作るので、今度はひっくり返して四角い大きな穴を上にして、その巡りに外へ向かって下臼と同じように放射線状に歯を植えて、やはりかけやでよく叩き込んで、水平に揃える。正常に、上は上に戻し、この場合、噛み合わさる面は大切だから、症などを敷いた上に置いて、一香見付きの縁作りをする。
良質の粘土をよく練り、壷の縁を作るように丁寧に塗り上げ、手拭いを裂いて小麦粉の濃い糊で貼り付け、その上からも刷毛で念入りに撫でておく。これで出来上がりだが、摺臼は大きな粘土細工のようなものだから、幾日も乾燥させてから使う。
以上、述べてきたのが摺臼だが、普通、摺臼を使う季節は稲の収穫が終わり、脱穀が済んだ晩秋の頃から冬季に集中する。よく乾燥させた籾を小屋の隅などに据え付けた摺臼に、挽き木は青竹の握り頃の太さのを竹薮から伐ってきて、長さ百八十センチ位にし、先端から三十センチ位のところを火であぶって、太さ直径約四センチ位の棒をぎゅうっと噛ませて折り曲げると、曲げた内側が丸く固まってそこだけ小さい空間的穴が出来る。
今度は摺臼の芯棒の真上にあたる二階下の天井棒に、直径三センチ位の楢の木の棒を下から釘で打ち付けてしっかり固定する。それに、先ほど曲げておいた竹竿を引っかけると、丁度曲がりの内側の丸型の空間が天井棒に打ち付けた楢の棒に噛み合わさって、ぐるぐる回る。その
竹が挽き木で臼の挽き手の高きに合わせて挽き手の下側へ十センチ位出たところで切る。
私の家では寒摺りといって、寒中、農作業の暇な時や雪降りに麿干しして、箱倉へ貯蔵しておいた籾を取り出して来て、摺臼の上臼へ籾を多少盛り上げて入れて、初めのうちは静かに回し始める。これも時計とは反対に回し、籾がこぼれなければ、相当早く回しても大丈夫。こうして、摺れた玄米や籾殻が摺臼の出口から敷き詰めてある滞に溜まり、幾日かのうちに山のように溜まり、六石(千百リットル)坪や三石(約六百リットル)坪の箱倉の籾がだんだん減つ
てくる。
置場がなくなるので、唐箕を使ってガラガラ籾殻と玄米を吹き分ける。籾殻を除いた玄米は
「とおし」を使って、さらに玄米だけに精選する。精選された玄米はさらに唐箕で吹いて四斗入りの俵か二斗入りの紙袋入りにし、箱倉の中の籾を出して空になった六石坪や三石坪に積み込んで貯蔵する。
とおしの上を走ってもまだ剥げない籾や枇はさらに摺臼に掛けられ、この作業が繰り返されると、だんだん摺る物がなくなって、最後には摺りっちいな(枇)が残る。これは、人聞が食べられなければ牛に食べさせる。
以上、述べたところが摺臼の構造、製法から使用方法に至るすべてである。家の最後の摺臼は、蒔田の風間玉作さん作だったが、動力籾摺機の出現とともに粗末にして、手置きを怠って腐らせてしまって残念です。

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