五、石倉漁 1釜築き

さて、そろそろ川漁の本領に触れてみるとしよう。その第一番目、冬の石倉漁について述べてみよう。
筆者が小学四、五年生の頃、すなわち昭和十一、二年頃。父親が、冬になると石倉漁をやった(俗に釜築き)という。
十二月のお祭り前後頃、麦作り(麦の種子を蒔く)、稲刈りをフルに働いて済ませ、学校の休
かなカぎみの日や放課後、よく手伝わせられた。用具としては三メートルもある柄の付いた金鈎と称する二本鈷。これは川底の砂利を掘る道具。同じく「篭じよれん」、これは掘った砂利などを掻き出す道具。ガラス箱、荒縄、鋭、鋸、それに弁当。むろん、当時も入漁料を納めた。石倉の場合、五カ所で五円であった。
金鈎とジョレンは一つに縛って手伝いである子供の私が担ぎ、それ以外の道具類は背負い篭に入れて父親が背にする。寒い川風の吹き上げてくる「ガニ坂」(カニが多く生息する)を降りて、あらかじめ見当を付けておいた道元尻(道元測のすぐ下流)へ急ぐ。
石倉に適した所というのは、浅瀬ではなく、緩い流れで砂が沸かず、あまり「ごおろ」(大き
手、こんな石がごろごろしている所)でもなく、ある程度水深もあり、むろん、底が岩や滑では駄目である。適当な砂利間が最も良い。つまり、狙いは「ザコHウグイ」にあるのだから、その生息の多い所。だから、道元尻が良い。
まず、地形にもよるが、水際から六十乃至九十センチ離れた所の川底に金鈎を使って、川に沿って、長径二・五メートル、短径一メートル七、八十センチ、深さ川底より一メートル近い穴を掘る。畑を掘る調子にはいかない。金鈎でむぐしては長柄のジョレンで砂利を掻き上げる。

その場合、極端に穴の縁ばかり高くならないよう、つまり火山口状にならないように気を付ける。
その問、手伝いはせっせと石を集める。長径二、三十センチ、短径十五センチ以上、厚さ五から十センチ以下位の平盤が良く、多少は緩みがあっても良い。その他、釜のふたに乗せる石などを用意する。石が集まる頃、穴が出来上がる。さて、一服してということになり、焚き火をする。
まんもくしょウじ主ろ
あたり一面、満自粛条たる冬景色。思わず習ったばかりの小学唱歌の「冬景色」を口ずさむ。「唐ぴん」(昔のやかん)で沸かした湯を飲みながら、簡単な昼食を済ませ

いよいよ釜築きだ。川底へ掘ったそこだけ青く深い穴の中へ頭大位の石を三個無造作に放り込み、それをガラス箱で覗いて見ながら、金鈎を使って中央に四十センチ位の正三角形に置く。その上へ直径五、六十センチ位の平盤を渡し、それも金鈎を使って乗せる。その巡りへ先ほど集めた平べったい石を立て掛ける。父親が差し出す金鈎へ、その石を乗せてやる。
独りで金鈎で石を突っ掛けるよりよほど早い。なにしろ、冬の川の水縁であり、ときどき濡れた石や雫の滴る石も素手で持つ。冷たきを通り越して、手先が痛い、感じがなくなる。一疾が出る。
穴一杯並べ終わると、上面を平らにするため、手頃な石をボカンボカンと放り込む。次に笹竹や枯れたススキを利用して、幅、長さとも三メートル位、厚さ五から十センチ位の柴垣状の蓋と称するものを造り、それを前述の石を詰めた穴の上へ水底へ沈めて被せて浮き上がらないようにジャガイモ型でない、平らな面のある大きめな石を重しとして、いくつか乗せる。
さらに、呼ぴ笹といって、蓋より一、二メートル長い枝葉の付いた笹竹を一本、蓋の上流端へ添えて流れの中心部へ突き出して沈め、魚を誘って呼び込む役目をさせる。
以上で、釜築き「石倉」の出来上がりである。今、造ったようなものを五枚というか、五カ所というかで、鑑札料金五円であった。

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